応用美術品(椅子)の著作権をめぐる訴訟で最高裁判決

   ベビー用品メーカー「ストッケ」など(原告:控訴人、ノルウェー)が販売する有名デザイナーによる子ども用椅子「TRIPP TRAPP(世界で1400万台販売) に著作権が認められるかが争われた訴訟で、最高裁は、控訴人の上告を棄却した(令和8424日、令和7年(受)第356号)。これにより、著作権を認めないとした二審・知財高裁判決が確定した。被告(被控訴人)は、乳幼児向けの家具などを製造する兵庫県のNoz社である。

 今回の判決においては、控訴人製品において著作物性が認められる点につき、控訴人製品と被控訴人製品との類否を検討すべきとして、控訴人製品は、控訴人主張に係る控訴人製品の形態的特徴につき、①「左右一対の部材A」の2本脚であり、かつ、②「部材Aの内側」に形成された「溝に沿って部材G(座面)及び部材F(足置き台)」の両方を「はめ込んで固定し」ている点に著作物性が認められるところ、被控訴人製品は、いずれも4本脚であるから、上記①の点に関して、控訴人製品と相違することは明らか。脚部の本数に係る相違は、椅子の基本的構造に関わる大きな相違といえ、その余の点に係る共通点を凌駕するものというべき。以上によれば、被控訴人製品は、控訴人製品の著作物性が認められる部分と類似しているとはいえない、と結論づけた。

 著作権は意匠権より保護期間が長い(意匠権の保護期間は出願から最長25年、著作権は著作権者の死後70年)。著作権法は著作物を「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいう」と定義する。量産実用品は「応用美術」と呼ばれる。応用美術は意匠権で保護されることから、著作権の保護の対象になり得るかは、判例や学説が割れていた。本判決により、応用美術においても著作物性が認められる部分は著作権の保護対象になり得ることを判示した。

   また、本件は、著作権だけでなく、不正競争防止法211号または同項3(商品等表示の該当性や混同)に該当する不正競争行為となるかも争われたが、被告製品は原告の顕著な特徴(商品の形態や色彩がブランドと認識される水準に達していれば)を備えないとして退けられた 。