特許権の侵害訴訟での原告勝訴率

 裁判所HPの統計データ(20142023年 東京地裁・大阪地裁)によれば、訴訟累計807件の全体に対して、判決は70%、和解は30%、判決のうち、認容は21%、棄却は45%、和解のうち、金銭給付・差止給付条件有りが24%、同条件なしが6%である。◆判決の中では、認容は30%、棄却64%、和解の中では、金銭給付・差止給付条件有りが80%である。◆判決で認容された金額は、1億円以上が39件、1億円未満1000万以上が49件、1000万円未満が43件である。◆和解において支払うことが約された金額は、1億円以上が31件、1億円未満1000万以上が56件、1000万円未満が79件である。◆無効の抗弁の有無・無効の抗弁に対する判断は、無効の抗弁有りが76%、無効の抗弁なしが24%、無効の抗弁有りのうち、特許有効判断が19%、特許無効判断が20%、判断なしが37%である。

 この結果から、全体に対する原告(特許権者)の何らかの言い分が通った割合は、判決認容21%と和解の金銭給付・差止給付条件有り24%との合計、45%であると言える。この数値が高いか低いかは、さておき、訴訟前の警告交渉において権利を尊重しライセンス契約締結等で対処する方が、訴訟に要する双方の費用・時間の経済ロスを低減できる、と思う。日本では、米国のように賠償額が高くないから、ライセンス契約締結等のインセンティブが働き難い。日本の知的財産権の価値を高めるも下げるも、裁判所の判断次第と言えよう。