我が国では、意匠とは、(1)「物品」「建築物」「画像」の(2)「カタチ・模様(+色)」という2つの要素からなるデザインのこと、とされています(特許庁HP)。
意匠登録の特殊な制度として、[部分意匠制度] 日本、米国、韓国、中国などで導入、製品の一部だけを保護対象にできる。[関連意匠制度] 日本、韓国、台湾などで採用、類似意匠を連鎖的に保護可能。日本では、1意匠1出願、米国などでは、複数意匠1出願も可能。登録要件として、新規性、創作性が必要。新規性喪失例外適用の出願も多くの国で可能。
国際出願(ハーグ制度)について
複数国への意匠出願を一括で行える。日本、米国、欧州、中国などが加盟。
1.国際出願 出願人は、保護を受けたい意匠、保護を求める国(複数可)等を記載した一通の出願書類(共通様式、単一言語)をWIPO国際事務局へ提出
(1)出願資格を有する者 締約国である国又は政府間機関の構成国の国民、締約国の領域に住所、営業所を有する者
(2)出願の言語 英語、フランス語、又はスペイン語
(3)出願の内容 国際出願には、出願人、指定国、意匠の複製物(図面/写真)など
(4)特定の締約国を指定する場合の追加の必須の内容 創作者、意匠の複製物又は特徴についての簡潔な説明など。任意の内容 優先権主張など
(5)国際意匠分類 ロカルノ協定に基づく。国際出願に2以上の意匠を含める場合には、それらの意匠の全てが国際意匠分類の同じ類に属するもの
(6)出願様式 国際事務局が定めた公式様式(DM/1等)により作成
(7)出願の方法 国際事務局へ直接出願する方法(インターネット出願(eHague))と、日本国特許庁に書面を提出する間接出願の方法
(8)手数料 基本手数料、指定手数料、公表手数料からなり、その金額は、意匠の数、指定した締約国などにより異なる。
2.方式審査・ 国際登録: 国際事務局は、出願書類に不備がなければ国際登録簿に記録(国際登録)。国際登録により、各指定国への正規の出願と同じ効果が発生
3.国際公表: 国際事務局は、国際登録から12月後に、国際登録の内容をWIPOウェブサイト上で公表(国際公表)。出願人は、国際登録後の即時公表、又は、公表の延期を請求可能
4.実体審査・権利発生: 国際公表から6月又は12月の間に、各指定国は国内法の実体的要件に基づき拒絶の通報を行う。
5.維持管理: 国際登録の更正や名義変更などの維持管理手続は、国際事務局で一元化。 登録更新 国際登録は、国際登録の日から当初5年間有効であり、その後、更新手続により5年ごとの延長(複数回)が可能。更新を望む指定国及び意匠数により、手数料額は異なります。
<主要国の意匠登録制度一覧>
|
国 |
保護対象 |
審査の有無 |
存続期間 |
部分意匠 |
関連意匠 |
新規性喪失例外適用 |
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日本 |
物品の形状・模様・色彩など |
実体審査あり |
出願日から20年 |
あり |
あり |
出願日前6か月 |
|
米国 |
製品の外観(Design Patent) |
実体審査あり |
登録日から15年 |
あり |
なし |
出願日前1年 |
|
EU 欧州 |
製品の外観 |
実体審査なし |
出願日から25年 |
あり |
なし |
出願日前1年 |
|
中国 |
製品の形状・図案・色彩など |
実体審査あり |
出願日から15年 |
あり |
類似意匠制度あり |
出願日前6か月 |
|
韓国 |
製品の外観 |
実体審査あり(一部無審査) |
出願日から20年 |
あり |
あり |
出願日前1年 |
|
英国 |
製品の外観 |
実体審査なし |
出願日から25年 |
あり |
なし |
出願日前1年 |