1.「区分」と「指定商品(指定役務)」の記載について
商標登録出願に際しては、「商標」(マーク)の他に、登録を受けたい「区分」と「指定商品・指定役務」を記載します。「区分」は「類」とも言い、政令で定められ、ニース協定に基づく国際分類に対応しています。「区分」は、商品や役務の内容に応じて1~45区分に分かれています(下記「商品区分」参照)。1つの出願に、商標は1つ、区分は複数を指定できますが、区分の数毎に費用(特許庁印紙代)が掛かりますので、必要な区分に絞ります。近い将来使用予定があるものを含めてもOKです。区分毎に指定商品又は役務を記載します。
2.商品によってはその材料、材質、用途などにより複数の区分に分かれる
下記は特許庁HPに掲載されている例で、少ない区分で包括的に記載できれば良いのですが、標準的なものと特殊なものとで区分が分かれることが多くなります。
(1)健康食品の場合、第5類 サプリメント(錠剤状のサプリメントの場合)、第29類 肉・魚介を原料とした健康食品、第30類 植物等を原料とした健康食品
(2)「第6類 金属製の植物の茎支持具」、「第20類 植物の茎支持具(金属製のものを除く。)」、「第6類 建築用金属材料」、「第19類 建築材料(金属製のものを除く。)」
(3)「第1類 工業用除菌剤」、「第3類 洗濯用除菌剤」、「第5類 除菌剤(工業用のもの及び洗濯用のものを除く。)」
(4)「第1類 工業用消臭剤」「第3類 身体用消臭剤,口臭用消臭剤,動物用消臭剤」、「第5類 消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。)」
(5)「第3類 入浴剤(医療用のものを除く)」、「第5類 医療用入浴剤」
(6)「第35類 食品の販売促進のための展示会の企画・運営又は開催」、「第41類 教育・文化のための食品の展示会の企画・運営又は開催」
3.指定商品又は役務の記載の注意点
「第2類 全ての商品」の記載は、いかなる商品について権利を取得しようとしているのかが不明確であることから、拒絶されます。
「第39類 貨物車による輸送, その他本類に属する役務」の「その他本類に属する役務」の記載は、いかなる役務について権利を取得しようとしているのかが不明確であることから、拒絶されます。
「第10類 医療用特殊調度品」の記載は、不明確とされ、例えば、第10類「医療用ベッド,医療用診察台」等と記載する必要があります。
「第37類 ガス機器の修理」の記載は、不明確とされ、例えば、第37類「ガスボイラーの修理,ガス湯沸かし器の修理」等と記載する必要があります。
「第42類 コンピュータシステムデザイン,コンピュータソフトウェアデザイン,インターネットセキュリティコンサルタンシー,データセキュリティコンサルタンシー,ディベロップメント・オブ・コンピュータ―プラットフォーム,プロバイディング・サーチエンジン・フォー・インターネット」の記載は、外国で登録されていたしても、我が国では、次のように記載する必要があります。「第42類 コンピュータシステムの設計,コンピュータソフトウェアの設計,インターネットセキュリティに関する助言,データセキュリティに関する助言,コンピュータ―プラットフォームの開発,検索エンジンの提供」
4.出願商標は指定商品又は役務と他人の登録商標との類否を「類似商品・役務審査基準」に基づいて判断
この審査基準は、生産部門、販売部門、原材料、品質等において共通性を有する商品、又は、提供手段、目的若しくは提供場所等において共通性を有する役務をグループ分けしたもので、同じグループに属する商品群又は役務群は、類似すると推定されます(同じ類似群コードは同一区分内だけではなく他の区分にも存在)。
第16類 書籍(26A01) 第16類 新聞(26A01) → 類似
第14類 宝石箱(20A01) 第20類 家具(20A01) → 類似
複数の類似群が付与されている場合、例えば、第9類「電子出版物」(26A01・26D01)は、第9類「インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル 録画済みビデオディスク及びビデオテープ」(24E02・26D01)、「映写フィルム スライドフィルム スライドフィルム用マウント」(26D01)、第16類「印刷物」(26A01)及び「写真」(26D01)並びに第20類「写真立て」(26D01)のそれぞれに類似と推定されます。
商品区分(政令別表)
第 1 類 工業用、科学用又は農業用の化学品
第 2 類 塗料、着色料及び腐食の防止用の調整品
第 3 類 洗浄剤及び化粧品
第 4 類 工業用油、工業用油脂、燃料及び光剤
第 5 類 薬剤
第 6 類 卑金属及びその製品
第 7 類 加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械
第 8 類 手動工具
第 9 類 科学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具、光学式の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具
第10類 医療用機械器具及び医療用品
第11類 照明用、加熱用、蒸気発生用、調理用、冷却用、乾燥用、換気用、給水用又は衛生用の装置
第12類 乗物その他移動用の装置
第13類 火器及び火工品
第14類 貴金属、貴金属製品であって他の類に属しないもの、宝飾品及び時計
第15類 楽器
第16類 紙、紙製品及び事務用品
第17類 電気絶縁用、断熱用又は防音用の材料及び材料用のプラスチック
第18類 革及びその模造品、旅行用品並びに馬具
第19類 金属製でない建築材料
第20類 家具及びプラスチック製品であって他の類に属しないもの
第21類 家庭用又は台所用の手動式の器具、化粧用具、ガラス製品及び磁器製
品
第22類 ロープ製品、帆布製品、詰物用の材料及び織物用の原料繊維
第23類 織物用の糸
第24類 織物及び家庭用の織物製カバー
第25類 被服及び履物
第26類 裁縫用品
第27類 床敷物及び織物製でない壁掛け
第28類 がん具、遊戯用具及び運動用具
第29類 動物性の食品及び加工した野菜その他の食用園芸作物
第30類 加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料
第31類 加工していない陸産物、生きている動植物及び飼料
第32類 アルコールを含有しない飲料及びビール
第33類 ビールを除くアルコール飲料
第34類 たばこ、喫煙用具及びマッチ
第35類 広告、事業の管理又は運営、事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
第36類 金融、保険及び不動産の取引
第37類 建設、設置工事及び修理
第38類 電気通信
第39類 輸送、こん包及び保管並びに旅行の手配
第40類 物品の加工その他の処理
第41類 教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動
第42類 科学技術又は産業に関する調査研究及び設計並びに電子計算機又はソフトウェアの設計及び開発
第43類 飲食物の提供及び宿泊施設の提供
第44類 医療、動物の治療、人又は動物に関する衛生及び美容並びに農業、園芸又は林業に係る役務
第45類 冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属するものを除く。)、警備及び法律事務 (以上)