他人の先願登録商標と類似する商標であっても登録を受け得ることがある?

  他人の先願登録商標と同一又は類似の商標であって同一又は類似の指定商品若しくは指定役務について使用するものは、登録を受け得ません(商標法4条1項11号)。しかしながら、そのような商標であっても、他人の承諾を得ており、かつ、商品又は役務との間で混同を生ずるおそれがないものについては、登録を受け得ます(新設の商標法第4条第4項)。これはコンセント制度と言われ、米国、EU、中国、台湾、シンガポール、ニュージランドなどにおいても導入されています。

 「商品又は役務との間で混同を生ずるおそれがない」に該当するためには、査定時のみならず将来にわたっても混同を生ずるおそれがないと判断できることが要求され、例えば、下記の①から⑧のような、両商標に関する事情を総合的に考慮して判断されます(審査基準より)

 ①両商標の類似性の程度、②商標の周知度、③商標が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか、④商標がハウスマークであるか、⑤企業における多角経営の可能性、⑥商品間、役務間又は商品と役務間の関連性、⑦商品等の需要者の共通性、⑧商標の使用態様その他取引の実情

 なお、商標法第4条第4項の規定に関わらず、例えば、一方は引用商標を指定商品「コンピュータプログラム」の中で商品「ゲーム用コンピュータプログラム」にのみ使用し、他方は出願商標を商品「医療用コンピュータプログラム」にのみ使用している等であれば、「混同を生ずるおそれがない」と判断されると考えます。