商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法などを示す商標について、その商品の生産者はその商標を登録して、独占的に使用できないかを考える。ところが、そのような商標は登録を受け得ない(商標法第3条1項)。但し、例外的に、そのような商標であっても使用をされた結果、識別性を有するものになった場合、登録を受け得る(同法3条2項)。
ここに、戦略なく、上記のような商標を使用して識別性を有する状態になってから商標登録しても、その時点では既に他人の類似の先願登録があり、登録を受け得ないといったことも。ここで、戦略があれば、登録を受け得る。“一番搾り”は、その例である。キリンビール㈱は、1990年に製造法である「一番搾り」の名称を付したドライビールを発売し、そのとき、「一番搾りBrewed by kirin Brewery」なる先行商標を出願し登録を受けた。その商品は爆発的に売れ続け、2002年に「一番搾り」を出願し、識別性が認められ登録を受け得た(商標登録4690741)。上記先行商標の登録を受けていたから、「一番搾り」を含む他人の障害と成り得る類似商標の発生を防止したと言えよう。(出典:日本弁理士会)patent-attorney_102号 (jpaa.or.jp)