1. 外国特許出願の方法
外国で特許権を取得するには、特許独立の原則のもと各国毎に出願して権利化する必要があります。外国への出願は、①各国に直接出願する方法と、②PCT国際出願による方法とがあります。一般的には、日本の基礎出願をもとに当該出願日(優先日)から12か月以内に優先権主張(パリ条約に規定)をして、①(パリルートと言われる)又は②により出願します。PCT国際出願は、多数の国例えば4か国以上に出願する場合は、各国に直接出願よりも経費面で有利です。
2. PCT国際出願とその費用
PCT国際出願は、所定の言語で作成した願書をPCT加盟国の特許庁に提出します(日本特許庁は日本語若しくは英語)。PCT国際出願の費用は、基本手数料や調査手数料等を含めて約22万円と、代理人手数料8万円程かかります。PCT国際出願しますと、国際調査され、国際調査報告及び見解書が出願人に提供されます。この見解に対して意見・補正(19条補正)をすることができます。また、優先日から18ヶ月経過後に出願及び国際調査報告が国際公開されます。国際予備審査請求もありますが余り利用されていません。
3. PCTでの各国移行とその費用
優先日から30ヶ月以内に、出願人は権利化を希望する国に国内移行する手続き(翻訳文の提出等を現地代理人に依頼)をし、各国特許庁の実体的な審査を求めます。出願人は先の国際調査報告及び見解書を基に当該出願発明の特許性の有無を判断すると共に事業化の可能性を考慮して、国内移行国を取捨選択します。米国等の英語圏への移行には、明細書の英語への翻訳が必要です。その費用は明細書の長さによりますが平均的に10万円強になります。米国移行は、国内代理人費用が8万円程、現地代理人費用+特許庁費用が25万円程になります。EU移行(EP出願)は、現地代理人費用が15万円程、欧州特許庁の官費(審査請求料を含め)が50万円程になります。EP出願は、官費が高額ですので、その指定国が2~3か国なら、国別の移行(例えば、ドイツ、イギリス等)をお勧めします。
4. EP出願とその維持年金
EP出願では、出願日(PCTから移行の場合、国際出願日)から3年目以降、維持年金を欧州特許庁に支払い、許可通知が出されたら登録料を納付するとともに、出願の言語が英語の場合、他の公用語(ドイツ語とフランス語)での請求項の翻訳文を提出します。その後、登録決定の通知がなされ、欧州特許公報が発行されます。登録日から3か月以内に出願人希望の指定国への移行手続きをします(このとき、一部の国では明細書のその国の言語での翻訳文提出が必要)。各国移行の後は、維持年金に替わって各国特許庁へ特許年金を納付します。(以上)
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